Q. 銀行のお金が不足することはないのか?——コール市場の仕組み
A. 不足する。1日に何百件もの振込をこなしていると、日銀当座預金が足りなくなる日がある。そのとき「余っている銀行」から借りる仕組みがコール市場だ。
例えば、こんな状況を考えてみる
101銀行がCさんへの融資で作り出したお金(100万円)が、振込によって別の銀行に移動したとする。この時点で101銀行の日銀当座預金は100万円減っている。
101銀行のバランスシート(振込後)
BSは釣り合ったままだが、例えば準備預金制度(銀行は預金残高の一定割合を日銀当座預金として常に保有しなければならない法律)の最低水準が1,000万円だとしたら、100万円がマイナスになったので現在900万円となり、基準を下回ってしまった。さて、どうするか。
コール市場で銀行同士が補い合う
全国には毎日さまざまな理由で日銀当座預金が余っている銀行がある。例えば303銀行がその日たまたま余剰を抱えていたとする。101銀行は303銀行から「明日返すので今日だけ貸して」と借りる。
この「銀行同士が翌日返済でお金を貸し借りする市場」がコール市場(インターバンク市場)だ。
303銀行では、例えばその日に融資先から100万円の繰上げ返済があったため、貸出金が減り、その分の日銀当座預金が増えていたとする。準備預金制度により「1,000万円は常に持っていなければならない」とすると、今日は1,100万円ある——つまり100万円が余剰だ。
この余剰分を101銀行に翌日返済で貸し出す。303銀行にとっては「どうせ余っているお金」を1日貸すだけで利息が得られる。
303銀行のバランスシート(繰上げ返済を受けた後)
100万円を貸し出す。
↓101銀行のバランスシート(コール借入後)
303銀行は余った日銀当座預金を貸して利息を受け取り、101銀行は不足を補える。毎営業日、全国の銀行間でこのやりとりが繰り返されている。
これは毎日起きている
コール市場は毎営業日、夕方の決済が締まった後に動く。その日の振込・引き出しが全部終わった時点で「今日は余った」「今日は足りなかった」が確定し、足りない銀行が余っている銀行から翌日返済で借りる。
規模感でいうと、日本のコール市場では毎日数兆〜数十兆円の取引が行われている。大手銀行が1行で1日に動かす資金だけで数兆円になることも珍しくない。365日休まず続く、金融システムの"毎日の帳尻合わせ"だ。