お金の基本

Q. 国債の発行価格はどうやって決まるのか?——入札の仕組み

A. 財務省が「入札」を行い、銀行・証券会社などが価格を競う。落札価格によって実質的な利回りが決まる仕組みだ。

「クーポン(表面利率)」と「利回り」は別物だ

国債には発行時に決まる「クーポン(表面利率)」がある。たとえば額面100円・クーポン2.6%の国債は、毎年2.6円の利子を払う。しかしこれは「いくらで買ったか」によって実際の利回りが変わる。

クーポン2.6%の国債を…

100円で買った → 利回り2.6%(クーポンと同じ)
99円で買った → 満期に100円戻るので、利回りは2.6%より少し高くなる
101円で買った → 満期に100円しか戻らないので、利回りは2.6%より少し低くなる

クーポンは固定だが、価格が動くことで利回りが調整される。入札で「何円で買うか」を競うのはこのためだ。

入札の流れ

財務省がクーポンを発表する(0.1%刻み。市場利回りに近い値に設定)
銀行・証券会社が「この価格で買いたい」と入札する
高い価格(=低い利回り)を提示した順に落札。最終的な落札価格が決まり、実質的な利回りが確定する

市場利回りが2.65%のとき、クーポンを2.6%に設定すれば、入札参加者は99円台の価格を提示して利回りを2.65%に合わせようとする。損をしたくないので、市場水準を外れた札は入れない。

なぜ流通市場ではなく入札で買うのか

流通市場で大量購入すると…

買う量が増えるほど価格が上がる → 利回りが下がる。1,000億円買おうとすると、買い進めるにつれて自分で利回りを押し下げてしまう。

入札(新発債)なら…

国が新しい国債を供給するため、既存の流通価格を動かさずに大量購入できる。大手金融機関が一度に数百億〜数千億円単位で調達できる。

新発債には「買う側へのメリット」がある

もし流通市場と全く同じ利回りなら「わざわざ入札に参加する意味がない」となってしまう。そのため新発債は流通市場よりわずかに利回りが高め(価格が安め)に設定されるのが慣行だ。これを「新発プレミアム(コンセッション)」と呼ぶ。

大手銀行・証券には「入札参加の義務」がある

財務省が指定した「国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)」は、入札に一定量参加する義務を負う。その代わり、日銀との特別取引やオペレーションへのアクセスなどの特権を得る。国債市場を安定して回すための仕組みだ。