お金の基本

Q. 投資家はなぜ「期待金利」で動くのか?——全ての資産価格を動かす原理

A. 投資家は「今いくらもらえるか」ではなく、「将来、合計でいくらもらえそうか」を見て動く。これが期待金利(期待収益率)だ。

「期待金利」とは何か

金融の世界で「期待(expected)」とは「予想される平均値」のことだ。ギャンブルや希望的観測ではなく、「起こりうる結果に確率をかけて足し上げた数字」を指す。

たとえば「60%の確率で年3%、40%の確率で年1%」という見通しがあれば——

期待リターン = 3% × 0.6 + 1% × 0.4 = 2.2%

投資家はこの「2.2%」を頭に入れながら、今の価格が高いか安いかを判断する。

株も不動産も国債も、全部おなじ原理で動く

国債の場合

「これから10年間、短期金利はどう動くか」を予想して長期金利が決まる。期待が上がれば長期金利も上がり、国債価格は下がる。

株式の場合

「この会社は将来どれくらい稼ぐか」という期待利益の合計(割引現在価値)が株価だ。業績そのものより、「期待」が変わったときに株価が大きく動く。

不動産の場合

「この物件は今後何年間、家賃がいくら入るか」という期待家賃収入の合計が物件価値だ。金利が上がると期待収益を割り引く率が高まり、不動産価格は下がりやすい。

「今の価格」は「将来の期待」を丸ごと織り込んでいる

市場価格は、今この瞬間の話ではない。市場参加者が持っている「将来予測の平均」が、今の価格に圧縮されている

だから「業績が良かったのに株が下がった」という現象が起きる。市場はもっと良い数字を期待していたからだ。重要なのは結果より、期待との差(サプライズ)だ。

中央銀行が「事前に予告」するのはなぜか

FRBや日銀が利上げの前に「今後〇回上げる予定」と発信するのは、市場の期待を事前に調整するためだ。いきなり利上げすると期待が大きく外れ、価格が暴落するリスクがある。期待をコントロールすることが、金融政策の核心の一つだ。

「期待で動く」ということの意味

投資家は現在ではなく未来を売買している。だから「今は低金利でも、将来上がりそうなら今の国債は買われない」「今は赤字の会社でも、将来黒字が見えるなら株が上がる」という現象が起きる。市場を読むとは、現在を読むことではなく期待がどこに向いているかを読むことだ。