Q. なぜ日本は「世界最大の対外純債権国」になれたのか?
A. まず「対外純債権国」というのは、政府だけの話じゃない。民間企業も含めた「日本に住む全員」が海外に持つ資産の合計だ。トヨタの海外工場も、年金基金が買った米国債も、全部足した数字が世界1位ということ。
「対外純債権国」って何?
難しい言葉だが、要は「日本が海外に貸しているお金と、海外から借りているお金、どっちが多いか」だ。
日本が海外に持つ資産(工場・株・債券・預金)
- 外国が日本に持つ資産
= この差額が「対外純債権」
プラスなら「貸してる側(債権国)」、マイナスなら「借りてる側(債務国)」。日本はこれが世界で一番プラスが大きい。
なぜそうなったか——3つの流れ
① 輸出で稼いで、稼いだ外貨を海外に投資し続けた
トヨタや日産が海外でたくさん売る → ドルが入ってくる → 国内金利がほぼゼロで運用先がないので、そのまま米国債や海外株に投資する → これを30年以上繰り返す。
② 年金・生命保険が海外で運用している
毎月みんなが払う年金保険料や生命保険料は、GPIFなどの機関が運用している。国内の金利がほぼゼロなので、利回りを求めて大量に海外の株や債券を買っている。これも「日本が海外に持つ資産」に含まれる。
③ 政府・日銀も外貨準備を積み上げてきた
円高を抑えるために政府・日銀が円を売ってドルを買う「為替介入」を繰り返してきた結果、政府の手元にも200兆円規模の外貨が積み上がっている。詳しくは「その外貨準備200兆円、どうやって積み上げてきたの?」へ。
「日本は借金大国」なのに矛盾しない?
「日本政府は世界一の借金持ち」と「日本は世界一の債権国」は、両方同時に正しい。
政府の国債残高は確かに膨大だ。でもその国債のほとんどは日本の国内(銀行・年金・日銀)が持っている。外国に借りているわけじゃない。
一方で民間(企業・年金・家計)は海外に大量の資産を持っている。この民間の資産が政府の対外負債を大きく上回るため、「国全体で見ると世界最大の債権国」になる。
整理するとこうなる
・「対外純債権国」= 政府だけでなく民間含む日本全体が、海外に持つ資産が負債より多い状態
・輸出で稼いだ外貨・年金の海外運用・政府の外貨準備、この3つが30年以上積み上がって世界1位になった
・「政府は借金大国・国全体は債権国」は矛盾しない。国内で借りて国外に貸している構造だから