Q. 国債発行は政府の借金なのに、なぜ「将来世代への先送り」と言われるのか?
A. 今の政府が借りて今の世代が使い、返済は将来の税収(将来世代の納税)に頼るからだ。ただしそれほど単純な話でもない。
なぜ「将来世代への先送り」と言われるか
標準的な説明はこうだ。
今この瞬間に使ったお金の分だけ、将来の納税者が税金で穴を埋める必要がある。現役世代が恩恵を享受し、まだ生まれていない世代・子供世代に請求書が回る——これが「先送り」という表現の根拠だ。
ただし「返す相手も将来世代」という反論がある
日本国債の約9割は国内で保有されている。つまり将来世代が国債を返済するとき、受け取るのも(主に)将来世代だ。
将来世代Aさん(納税者)→ 税金を払う
将来世代Bさん(国債保有者)→ 元本+利子を受け取る
→ 将来世代の「AさんからBさんへの富の移転」であり、世代全体の負担ではない
この視点では「世代間の問題」というより「将来世代の中での格差の問題」になる。国債を多く持つ富裕層が有利で、資産を持たない層が不利になる構図だ。
それでも問題になる本当の理由
① 利払いで財政が硬直化する
国債残高が膨らむほど、毎年の利払い費(国債費)が増える。将来世代の税収が教育・社会保障ではなく「過去の借金の利子」に消えていく。使えるお金が減る。
② 日銀が買い取ることでインフレが起きる
国債を日銀が大量に買い取れば市場のお金が増え、インフレになる。インフレは現金・預金の実質価値を下げる。将来世代の貯蓄が目減りするという形での「先送り」だ。
③ 投資か消費かで意味が変わる
借金で道路・港・学校を作れば、将来世代はその資産も受け継ぐ。しかし借金で今の高齢者の給付金を払えば、将来世代は負債だけを受け取る。何に使ったかで「先送り」の正当性は大きく変わる。
何を「先送り」しているのか
問題は、政府が借金で支出するとき、その請求書が将来の納税者に強制的に送られることだ。将来世代は今日の支出の恩恵を受けたかどうかに関わらず、税金という形で返済を義務づけられる。同意なき世代間の負債移転——それが「先送り」の正体だ。