お金の基本

Q. なぜインフレは発生するのか?ー今起きてること【2025年】

A. 円安による輸入コスト上昇(コストプッシュ型)と、長年の財政出動・信用創造によるお金の増加(需要プル型)、両方が重なって起きている。

インフレには2種類ある

需要プル型(お金が増えた側から)

お金が増えて需要が高まり、モノが足りなくなって値段が上がる。「超基本編」で説明したりんごの話がこれ。景気がよくなる過程で起きることが多い。

コストプッシュ型(モノが減った側から)

生産コストや輸入コストが上がり、実質的に手に入るモノが少なくなって値段が上がる。景気に関係なく起きるため、「給料は上がらないのに物価だけ上がる」という苦しい状況になりやすい。

今の日本:円安がコストを押し上げた

日米金利差の拡大により円安が進む(1ドル80円台 → 150円超)
エネルギー・食料・原材料のほぼ全てを輸入に頼る日本では、円建ての仕入れコストが跳ね上がる
コストが上がった分、企業は値上げせざるを得ない → 物価上昇

お金の量は変わっていなくても、「円で買えるモノの量」が実質的に減った。これがコストプッシュ型インフレの正体。

今の日本:長年のお金の増加も重なっている

日銀の量的緩和(2013年〜)と政府のコロナ給付・財政出動で、市中に流れるお金の総量(M2)が増え続けた
2015年に約900兆円だったM2は、2024年には約1,250兆円と10年で350兆円以上膨らんだ
お金が増えた分だけモノへの需要も底上げされ、値上げを受け入れる余地が生まれた

コストプッシュだけなら需要が落ちて物価上昇は続きにくい。しかしお金も増えているため、値上げしても売れ続ける下地ができている。

なぜ「給料が上がらないのに物価だけ上がる」のか

値上げで利益を守れた企業も多い。しかしその利益は、賃金より株主への配当・自社株買いや内部留保に回っている。1990年代以降、日本企業は「株主を優先する」方向にシフトしてきたからだ。

円安によるコスト上昇も、M2(現金+銀行預金の総量)の増加も、物価を押し上げる方向に働く。しかしその恩恵は働く人に届かない。