Q. 量的緩和で、なぜ格差が広がっていくのか?
A. 低金利で大量のお金が市場に出回ると、現金は損をし、株・不動産などの資産は値上がりする。資産を持つ人と持たない人の差が、この仕組みによって広がり続ける。
なぜ資産を持つ人だけが潤うのか
政府が発行した国債を、銀行・証券会社などの金融機関が市場で購入する。日銀はその金融機関から国債を大量に買い取り、現金を供給する。
日銀の大量購入で国債の利回りが低下する。この低金利環境が、機関投資家全体を動かす引き金になる。
低利回りに困った機関投資家(生保・年金基金)が、株・不動産・外国債券へ資金を移す。日銀自身もETFを約37兆円、J-REITを直接購入し、資産価格を押し上げた。
株・不動産の価格が上がる。すでに資産を持っていた人はそのまま値上がり益を得る。持っていなかった人には恩恵がない。
QEは資産価格の上昇だけでなく、時間差でインフレ(生活コストの上昇)も引き起こす。大量のお金が市場に流れると円安が進みやすくなり、輸入品の食料・エネルギーの価格が上がる。日本でも2022年以降にこのルートで物価が上昇した。
インフレは「資産なし」の人を直撃する
現金・預金だけの人
インフレで食料・エネルギー・家賃が上がる。所得の大半をこれらに使う低所得者ほど直撃を受ける。現金の実質的な価値が目減りし続ける。
株・不動産を持つ人
インフレで資産価値が上がる。現金が減っていく中で、実物資産は守られる。インフレはむしろ追い風になる。
インフレが株価を押し上げる——日本株上昇の構造的な理由
モノの値段が上がると、それを売っている企業の売上高が名目上増える。コストも上がるが、価格転嫁できる企業は利益も増える。企業価値が上がり、株価が上昇する。
インフレで現金の実質価値が目減りするため、投資家が現金を株・不動産・ゴールドなど実物資産に移す。この資金流入も株価を押し上げる。
日本株の上昇も、バフェット効果や東証のPBR改善要求など複数の要因があるが、「お金じゃぶじゃぶ+インフレ」という土台がある。
格差は複利で広がっていく
格差が広がる → 資産を持つしかない → NISAは合理的な対応 → しかしNISAに回せる余裕があるのも、すでに余裕がある人 → 格差がさらに広がる。
政府がどんな政策を取っても、「お金を増やす方向の政策」は構造的に資産保有者に有利に働く。格差を本当に縮めるには、累進課税や資産税など、別の再分配の仕組みが必要になる。