お金の基本

Q. 株って、そもそも何のためにあるのか?——なぜ配当がなくても株に価値があるのか

A. 株は「会社の将来キャッシュを受け取る権利」だ。配当がなくても、将来の配当・自社株買い・買収などの形でいつかお金として戻ってくる期待があれば価値が生まれる。

株の起源——東インド会社

1602年、オランダ東インド会社(VOC)が世界初の株式会社として誕生した。当時の航海は巨大な資金が必要で、しかも船が嵐で沈めば全損だ。一人の商人がリスクを負うのは限界がある。

そこで多数の出資者からお金を集め、リスクを分散した。航海が成功して利益が出たら、出資比率に応じて「配当」として分配する——これが株式会社の原型だ。目的は最初から配当だった。

株価はどうやって決まるか

株の値段は突き詰めると、「この会社は将来、株主にどれだけお金を返してくれるか」という期待で決まる。

将来たくさんもらえそう → 株価が高くなる

あまりもらえなさそう → 株価が低くなる

業績の上方修正・下方修正など、期待が変わった → 株価が動く

毎日ニュースで流れる株価の上下は、基本的にこの「将来への期待」が変化したサインだ。では「将来返ってくるお金」には、配当以外にどんな形があるか——それが次の3つだ。

配当がなくても株に価値がある3つの理由

① 将来の配当期待

今は「成長のために利益を全部再投資する」フェーズで配当を出していない。でも成長が落ち着いたら出す——Amazonが27年間無配当だったのはこのパターン。株価にはその「将来いつか出る配当」が織り込まれている。

② 自社株買い(buyback)——配当の代替

会社が市場で自社の株を買い戻して消却する。株の枚数が減るので「残った株1枚あたりの価値」が上がる。株主にお金を渡す代わりに「1株の価値を上げる」という方法だ。経済的には配当と同じ効果がある。

③ 買収プレミアム

他の会社に買収されるとき、株主は市場価格より高い値段でまとめて買い取ってもらえる(プレミアムが乗る)。「将来誰かが高く買ってくれるかもしれない」という期待も株価に反映される。

では「値上がり益」って何なのか

「配当ではなく値上がりで儲ける」と言うとき、値上がりはあくまで「結果」だ。なぜ上がるかというと、「将来このキャッシュが増える」という期待が高まったから——つまり将来の配当・自社株買い・買収の期待が上方修正されたから株価が上がる。

ただし正直に言うと、「他の人が高く買ってくれるだろう」という純粋な投機も混じっている。期待が期待を呼んで価格が実態から乖離するのがバブルだ。

もし本当に「配当も自社株買いも買収も永遠にない」なら、その株は理論上ゼロに近い価値しかない。値上がり益だけを目的にする投資が成り立つのは、「いつかは株主に何かが返ってくる」という前提があるからだ。