Q. 株式の分離課税——なぜ株の利益は最高でも20%しかかからないのか?
A. 株式の売却益・配当金は「分離課税」といって、所得の多さに関係なく一律20%しかかからない。一方で給与所得の最高税率は55%。同じ「稼ぐ」でも、手段によって税負担が3倍近く変わる。
分離課税とは何か
所得税は原則として「総合課税」——すべての収入を合算し、多いほど高い税率がかかる(超過累進課税)。しかし一部の所得は「分離課税」として切り離され、他の収入と無関係に一律の税率が適用される。
給与所得・事業所得
総合課税(すべての収入と合算)
最高55%
(所得税45%+住民税10%)
株式の売却益・配当金
分離課税(他の収入と切り離して計算)
一律20%
(所得税15%+住民税5%)
年収1億円で試算すると
給与で1億円稼いだ場合
所得税率:最高45%+住民税10% = 実効税率約50〜55%
手取り:約4,500〜5,000万円
株で1億円稼いだ場合
税率:一律20%
手取り:約8,000万円
同じ1億円でも、手取りが3,000万円以上違う。「富裕層は実質的な税率が低い」と言われる構造的な理由のひとつだ。
NISAで運用益が非課税になる仕組み
通常、株の利益には20%の税がかかる。NISAはその20%すら免除される非課税制度だ。
新NISA(2024年〜)の概要
元々は「投資を促進して経済を活性化する」という政策目的で作られた制度。誰でも使えるが、使いこなせているかどうかで差が出る。
なぜ分離課税は廃止されないのか
「金融所得課税の強化」は何度も議論に上がる。岸田元首相が就任直後に「1億円の壁を是正する」と発言したとき、株価が急落し、すぐに発言を撤回した。
この一件が象徴しているように、分離課税を廃止すると株価が下がりやすく、それが政治的な制約になっている。大株主・経営者層・金融業界の影響力は大きく、自分たちにも返ってくる改革は通りにくい。