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Q. 「これからも物価が上がる」という予想を、日銀はどこから読み取るのか?

A. 主に2つの指標を見る。「10年国債利回り」は市場参加者のプロが織り込む将来インフレ予想。「日銀サーベイ」は家計が肌で感じる物価感。どちらも「2%のインフレが定着すると思われているか」の確認に使う。

なぜ「予想」が重要なのか

インフレは自己実現する性質がある。「物価が上がり続ける」と家計・企業が思えば、今のうちに買っておこうとする→需要増→実際に物価が上がる。逆に「すぐ落ち着く」と思えば、消費を急がず需要も増えない。だから日銀は「現在のインフレ率」だけでなく、「これからも上がり続けると思われているか」を確認する。

日銀の「物価安定の目標」は2%。この目標が「達成できる」と市場・家計の両方に信じられてはじめて、インフレが安定的に続く状態になる。

① 10年国債利回り——プロの「将来インフレ予想」が反映される

国債を買う機関投資家・市場参加者は、「10年間の平均インフレ率がどれくらいか」の予想を織り込んで買値を決める。将来インフレが高いと思えば、その分の補償として高い利回りを要求する。つまり長期国債の利回りは、プロが見込む「将来の名目金利≒インフレ期待+実質金利」の代理指標になる。

利回りが低い

→ 市場は「将来もインフレは低い」と予想している(デフレ期待が残っている)

利回りが上昇

→ 市場が「インフレが続く」と判断し始めているサイン

BEI(ブレークイーブンインフレ率)について

より精度の高い期待インフレ率として、名目10年国債利回り − 物価連動国債(JGBi)実質利回り=BEIという指標がある。日銀の政策決定会合の議事録でも言及される。ただし、物価連動国債の市場は流動性が低く、BEIの公式無料データソースは存在しない(Bloomberg等の有料端末が必要)。

② 日銀サーベイ——家計が「肌で感じる」物価感

日銀は毎四半期「生活意識に関するアンケート調査」を実施し、「1年後に物価は何%変わると思うか」を家計2,000人以上に直接聞く。市場価格とは異なる、一般消費者の肌感覚を把握する目的だ。

平均値は実際のインフレ率より大幅に高い傾向がある(食料品など体感しやすい高い値段の品目に引っ張られるため)。日銀はこの「絶対値」より「方向性・トレンドの変化」を重視する。

2つの指標を合わせて「定着感」を確認する

10年国債利回り(プロ)と日銀サーベイ(家計)の両方が「インフレが続く」方向に傾いているとき、日銀は「インフレ期待が安定的に2%に向かっている」と判断できる。片方だけでは「一時的」と見なされやすい。