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Q. 日銀が「企業が値上げしているか」を確認する短観の指標とは?

A. 「販売価格判断DI」を見る。企業が「値上げできている」かどうかを示す指標で、日銀はこれが高水準を維持しているかで、インフレが企業側からも支えられているか判断する。

なぜ「企業が値上げしているか」が重要なのか

インフレが「賃金↑→コスト増→販売価格↑→また賃金↑」という好循環の中で起きているとき、日銀は「持続的なインフレ」と判断できる。逆に、コスト(原材料・エネルギー)の上昇だけが原因で、企業が渋々値上げしているだけなら、コストが下がればインフレも消える一時的なものだ。

「企業が自信を持って値上げできているか」=需要が十分に強く、消費者が価格を受け入れている証拠。この状態が続くかどうかを、日銀は「販売価格判断DI」で確認する。

短観「販売価格判断DI」とは何か

日銀が年4回(3月・6月・9月・12月)実施する「全国企業短期経済観測調査(短観)」の中の一項目。約9,700社に「3ヶ月前と比べて販売価格は上がったか・下がったか」を聞き、「上昇」と答えた割合から「下落」と答えた割合を引いた値(DI=Diffusion Index、拡散指数)で表す。

DI がプラス

→ 値上げしている企業が値下げしている企業より多い。物価上昇が企業行動として確認できる。

DI がゼロ付近

→ 値上げ・値下げが均衡。企業は価格転嫁を積極的にしていない(デフレ期の典型)。

販売価格判断DI の推移(全規模合計・全産業)

2022年以降に急騰した理由

2022年にロシアのウクライナ侵攻でエネルギー・食料品価格が世界的に急騰した。それまで「値上げしたら客が離れる」と恐れて価格転嫁できなかった日本企業も、「他社も上げているから」という環境変化の中でようやく値上げに踏み切り、DIが急騰した。

日銀が注目するのは「DI の水準」より「持続性」

コスト高騰が引き金でも、結果として企業が値上げに慣れ、消費者もそれを受け入れるなら、インフレは自律的なサイクルに乗り始める。DIが高水準を維持し続けているかどうかが、日銀の利上げ判断において重要なシグナルになる。

コストプッシュか、需要主導か——日銀の本当の問い

日銀が見たいのは「物価が上がっているか」ではなく、「企業と消費者が一緒になって物価を上げているか」だ。販売価格判断DIが高水準を維持し続けているなら、それは需要が強く企業が自律的に値上げしている証拠。この状態が賃金上昇と組み合わさって初めて、「2%の安定インフレが達成できる」という確信につながる。