節税のリアル

Q. マイクロ法人とは何か?なぜ役員報酬88,000円/月が節税になるのか?

A. 自分1人の法人(マイクロ法人)を作り、役員報酬を月88,000円に設定すると、所得税・住民税がほぼゼロになる。残りの収入は法人に残して経費で落とすか、将来の退職金として積み立てる。

なぜ88,000円なのか

88,000円/月(年収1,056,000円)は、所得税の源泉徴収税額表で天引き額がゼロになる境界に近い金額だ。

計算の構造(年間)

年収(88,000円 × 12)1,056,000円
― 給与所得控除△550,000円
― 基礎控除△480,000円
課税所得26,000円
所得税(5%)約1,300円/年
住民税(住民税の基礎控除43万円以下)0円

つまり年間の所得税・住民税はほぼゼロ。社会保険料は最低等級での加入になるが、健康保険・厚生年金に加入できる。

法人に残ったお金はどうする?

役員報酬として受け取らなかったお金は法人内に留まる。それを以下のように活用する。

① 法人の経費として使う

社宅(家賃)、出張旅費・日当、業務用PCや書籍、打ち合わせ費用など。個人で払えば税引き後のお金が出ていくが、法人経費なら課税前のお金で払える。

② 役員退職金として積み立てる

法人に貯まったお金を、引退時に「役員退職金」として受け取る。退職所得控除が大きく、給与でもらうより税負担が大幅に低い。

③ 法人で資産運用する

法人名義で株式・投資信託を持つことができる。個人と異なり経費との損益通算も可能。

なぜ合法なのか

この仕組みが合法な理由は、複数の制度をそれぞれ適法に使っているからだ。

  • 給与所得控除:サラリーマン向けのみなし経費控除。法人の役員も給与をもらう人なので適用される。
  • 社会保険の最低加入:法律上、一定以上の報酬があれば加入義務がある。最低等級での加入は違法でも脱法でもない。
  • 法人経費:事業のために使った費用は経費。これは大企業も個人法人も同じルール。

ただし、前提条件がある

法人に売上・収入がなければ成立しない。マイクロ法人は「クライアントから業務委託費を受け取る法人」が前提。売上ゼロのまま役員報酬だけ払い続けるのは経済的に持続しない。

参考:

橘玲「新・貧乏は金持ち」(文春文庫)——マイクロ法人戦略の解説

国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」