Q. 短期金利と長期金利は連動するのか?
A. 連動する。ただし投資家は「今の短期金利」と比べているのではなく、「これから10年間の短期金利の平均」と比べている。
投資家が直面する選択肢
10年国債(長期)を買うとは、国に10年間お金を貸すこと。投資家は常にこの2択を比べている。
A案 10年国債を2.7%でロックイン → 10年間ずっと2.7%
B案 短期国債を毎年乗り換え → 毎年その時点の金利を受け取る
数字で見ると
「今後、短期金利が段階的に上がり、4年目以降は4%で落ち着く」と予想したとする。
A案(10年国債2.7%固定)
1〜10年目:すべて2.7% → 10年平均 2.7%
B案(短期を毎年乗り換え)
1年目0.5%、2年目1%、3年目2%、4〜10年目4% → 10年平均 約3.2%
最初の3年はA案が有利でも、10年トータルではB案が勝つ。
10年国債には2つのリスクがある
① 途中で売ると損が出る
A投資家が10年国債を100万円分買った。利回り2.7%。毎年27,000円のクーポンが入る。
その後、政策金利が引き上げられ、市場では「長期金利も3%になるのは時間の問題」という雰囲気になった。
A投資家が事情で売りたくなった。B投資家に打診する。
B投資家は「もうすぐ新発国債が3%で出るなら、今さら2.7%の国債を100万円で買う気にならない。もし買うなら、実質利回りが3%になる値段まで安くしてくれ」と言う。
A投資家の選択肢はこの2つしかない。
・損を受け入れて売る → 90万円前後でしか売れない
・10年間持ち続ける → 元本は戻るが、その間より高い金利を逃し続ける
どちらを選んでも痛い。だから投資家は「これから金利が上がりそうな局面では、10年国債をホイホイ買えない」と慎重になる。
② 持ち切っても機会損失がある
10年間持ち続ければ元本は戻ってくる。しかし後半に短期金利が4%になっていれば、「短期でまわし続ければよかった」という機会損失が残る。
これが長期金利を動かす
「これから金利が上がりそう」と市場が読めば、A案(10年ロックイン)を避けてB案(短期乗り換え)に流れる。10年国債が売られると価格が下がり、利回りが上昇する。
逆に「これから金利が下がりそう」と読めば、今のうちに高い金利を長期で確保しようと10年国債が買われ、利回りが低下する。
このように、長期金利は「今の短期金利」ではなく「将来の短期金利への期待」を映して動く。