お金の基本

Q. 政府が日銀に低金利圧力をかけると、なぜ円が下がるのか?——中央銀行の独立性とは

A. 政府が日銀に低金利圧力をかけると、「金利は経済ではなく財政事情で決まる」と市場が読む。その瞬間、円は売られる。

中央銀行の「独立性」とはなにか

日銀の仕事は、インフレを適切にコントロールすること。そのために金利を上げたり下げたりする。

ここで大事なのが独立性だ。政府は多額の借金を抱えているため、「低金利を続けてほしい(金利が上がると利払いが増えて困る)」という利害関係がある。政府から独立して金利を決められるからこそ、市場は「インフレが高まれば日銀は金利を上げる」と信頼できる。

政府が「低金利にしろ」と言うと何が起きるか

政府が日銀に低金利圧力をかけると、市場にこういうシグナルが届く。

日銀はインフレが高まっても、政府の財政事情のせいで金利を上げられない

つまり「金利は経済の実態ではなく、政府の借金事情で決まっている」という意味になる。

なぜ円が下がるのか——2つの経路

① 金利が上がらないと見込まれる → 円が売られる

通貨の強さは「その通貨を持っているともらえる利息(金利)」に大きく左右される。日銀が動けないなら円の金利は低いまま。世界の投資家は利息がもらえる他国通貨に乗り換える——円売りだ。

② 「日銀がインフレを制御できない」という信頼の毀損

インフレが起きても中央銀行が手を打てないなら、その通貨の購買力はじわじわ下がっていく。市場はこれを先読みして円を売る。「金利の低さ」だけでなく、「円の価値そのものへの不信」が上乗せされる。

この2つがダブルで円安圧力になる。

この状態が続くと「財政ドミナンス」になる

財政(政府の借金)が金融政策(金利の決定)を支配してしまっている状態を財政ドミナンスという。日銀が「インフレ抑制のために金利を上げるべき」と判断しても、政府の財政事情のせいで踏み込めない——という構造だ。

日本ではすでにその傾向があるという見方がある。900兆円超の国債残高を抱える政府が「低金利を望む」のは当然で、それが暗黙の圧力になっているという議論だ。

財政ドミナンス=「政府の財政事情が、中央銀行の金利決定を縛っている状態」